喜び勇んでお引き受けすることにした。高野さん宅の場合、親との同居が基本的に介護目的であることを考え、まずは親世帯のスペースが1階、子世帯の生活スペースを2階にすることを決めた。満さん1家は、5歳と3歳の息子に夫婦2人の4人家族だ。当面はこの4人で建物全体を使うわけだが、いずれ両親を迎えた日のことを考えれば、2階だけでも4人が不自由なく暮らせるプランでなければならない。したがって、メインのキッチンやリビングダイニング、バス、トイレ、そして4人の寝室はすべて2階に配置する。しばらくの間、子どもたちに必要なのは心おきなく安全に遊べる空問だが、遠からず勉強部屋や自分だけの部屋も必要になるだろう。かといって、一人で個室にこもるようになっても困る。できるだけ親の目の届くところで過ごしてほしい。これが久美子さんからの強い希望だった。そこで私は、2つの子ども部屋を寝る部屋と位置づけ、勉強のためのデスクや本棚は寝室の外に設置するプランを提案した。キッチンと子ども部屋の間に独立した勉強コーナーをつくって大きめのデスクを置き、子どもが勉強するだけでなく、久美子さんが手紙を書いたり、満さんが簡単な書類仕事をするときにも使えるようにしたのである。いってみれば、家族共有の図書室だ。子どもたちが宿題をする様子を久美子さんが夕食の仕度をしながらのぞくこともできるし、兄が弟の勉強をみてやる機会も増えるだろう。さらに、周囲に隣家の建物が迫る敷地条件を考え、建物の中心に中庭を設置。中庭の上部は吹き抜けとし、2階はこの吹き抜け空間をぐるりと取りまくサーキットープランを採用した。こうすることで、1階、2階ともに採光と通風がよくなるだけでなく、家族の1体感も強まるはずである。両親との同居と介護を目的とした1階には、含みの仕掛けを随所に施した。1階全体は中庭を中心にして、大きく北側と南側のセクションに分かれている。北側には将来の介護室を想定した大きめの洋室と和室。この和室は当面、ゲストルームとして使うが、いずれは介護者のための寝室や居問に転用できる。メインのバス、トイレは介護室の隣、南側セクションとのブリッジにあたる部分に配置した。北側、南側のどちらからでも利用できる場所である。しかしこれとは別に、和室の前にもう1つ、北側専用のサプートイレも設置した。一方、南側セクションは、小さな玄関とミニ・キッチンを備えた1LDK風のつくりとなっている。ブリッジにあるバス、トイレまでをユニットと考えれば、他人に賃貸することも充分可能な設計だ。